ジャズボーカルはジャズの中でも独特の立ち位置にあります。
ロック系の曲だと原曲キーの出ない声域で無理に歌って喉をいためる…という話をよく聞きますが、ジャズではそういったことはなく、ボーカルさんが無理なく歌えるようにキーを変更して歌います。カラオケでキーを上下させたり、キーボードのトランスポーズ機能やギターでカポタストをはめて弾くのと同じことをします。
ただ、紙の譜面だとボタン1つで移調できないので、自分で譜面を書く必要があります。書くにはある程度の音楽理論の知識と耳コピ能力が必要になります。
まず自分の声域を把握します。自分の声域は靴のサイズのように自分にしか分からないので、ピアノなどで自分の声の出る範囲を知っておきます。
自分の声域が分かったら、歌いたい曲の最低音と最高音を見つけます。
その2つの音域を見比べて、無理なく歌える声域内に収まるように楽譜を移調します。その際、メロディだけでなく、コードも変えます。
お店のジャムセッションでも、ボーカルの方は自分のキーの書き譜を5枚くらい用意して「このキーでやって」と楽器隊に渡しています。
誰でもできそうなジャズボーカルですが、譜面を書かなければいけないので、初心者には意外にハードルが高いのです。